2020年10月~
ロタウイルスワクチンが定期接種(無料)になります
対象者
2020年8月1日以降に生まれたお子さんで、10月1日以降に接種した場合に定期接種となります。
7月31日までに生まれた品川在住のお子さんは、任意接種費用の一部助成を利用して接種が受けられます。助成金額は1回7,000円(一人2回まで)です。
ロタウイルスワクチンについて
ロタウイルス胃腸炎の重症化を予防するために口から飲む生ワクチンです。現在、日本では2種類のワクチン(ロタリックス・ロタテック)がありますが、どちらのワクチンも効果や安全性には差がありません。
接種開始時期
どちらのワクチンも生後6週0日から接種することができますが、初回接種は、生後2か月からヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンなどと一緒に接種することをお勧めします。 それができない場合でも初回接種は生後14週6日までには受けましょう。
接種回数
ロタリックス(1価) | 4週間以上の間隔をおいて生後24週0日までの間に2回接種します。 |
ロタテック(5価) | 4週間以上の間隔をおいて生後32週0日までの間に3回接種します。 |
※2回目以降も1回目と同じワクチンで接種を完了することになっています。
ワクチンの効果
両ワクチンとも全てのロタウイルス胃腸炎を約80%防止し、重症のロタウイルス胃腸炎に限ると、その予防効果は約95%です。
ワクチンの副反応
ワクチン接種後、嘔吐、下痢などの胃腸炎症状が5%未満のお子さんでみられますが、いずれも軽症であり、特に治療を必要とすることはありません。注意が必要な副反応は腸重積症(腸と腸がはまりあう病気)で、10万接種あたり1~5人程度、特に接種後の一定期間(初回接種後7日以内が多い)に増加すると報告されています。接種後、ぐったりして顔色が悪くなる、泣いたり不機嫌になったりを繰り返す、嘔吐を繰り返す、便に血が混じったりする場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。この頻度は、2つのワクチンに差がありません。
ロタウイルス胃腸炎とは
乳幼児におこる代表的な感染性胃腸炎のひとつです。ロタウイルスは感染力が強く、ごくわずかなウイルスが体内に入り込むだけで感染が成立します。そのため5歳までにほとんど全ての乳幼児が一度は感染すると言われています。初めて感染すると重症化しやすく、その後感染を繰り返すにつれて軽症化します。多くは突然の嘔吐、発熱に続き、水様性下痢を起こします。特異的な治療はありません。回復には1週間程かかります。脱水症になる可能性が高く、無熱性けいれん、肝機能障害、腎不全、脳症等をまれに合併することもあり、脱水が強い場合や合併症を併発した場合には、入院が必要となることがあります。
腸重積症とは
腸の一部が、他の腸の中にもぐりこんで、二重になってしまい、腸閉塞(イレウス)症状をおこす病気です。4か月から2歳までの乳幼児に多くみられます。原因ははっきり分かっていませんが、風邪などのウイルス感染症が原因で腸の壁のリンパ節が腫れ、腸の動きが制限されるとおこりやすくなるようです。この状態を放置すると腸管の血行障害・通過障害をきたし、生命にかかわる状態となります。出来るだけ早くに発見し、重積した腸管を元に戻す治療が必要となります。ぐったりして顔色が悪くなる、泣いたり不機嫌になったりを繰り返す、嘔吐を繰り返す、便に血が混じったりするなどの症状がある場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
2020年9月
小児科:齋藤義弘